「ちょっと早めの夏休み!」と銘打って、カナダのバンクーバーへ9日ほど行ってきました。
バンクーバーを訪れるのは3回目。今回の裏テーマは、たくさんの本屋をめぐること。取り分け、バンクーバーは本屋が有名、というわけではまったくないのですが、海外では町の本屋さんってどんな立ち位置なんだろう?というのを肌で感じてみたいなと思っていたのです。
やると決めたら、とことんやりたくなる性格が功を奏して(?)個人書店を中心に全部で26軒! だいたい4日ほどかけてめぐってきました。新刊書店から古本屋までいろいろですが、一度にこれだけの本屋さんを回ることができたおかげでたくさんのヒントをもらってきたように思います。
わたし自身、もう一度、旅をするような気持ちで振り返っていきたいと思います。長くなりそうですが、写真をたくさん載せてみたので眺めるだけでもよかったら!
目次
本屋めぐり1日目。夕陽が美しくみえるベイエリアのキツラノ。穏やかで高級住宅街ともいわれるこの辺りでは、6軒の本屋に立ち寄りました。それぞれの魅力があふれていて本当にたのしかった!
1軒目から大本命がきてしまった。ほら、みて。さいこうの空気感。
忙しそうにしていた店主さんがわたしを見つけて「Hi」とにっこりした瞬間、ここはぜったいに好きだな、と思いました。近くにあるステップに座って本を探しだしたわたしの後ろを通るとき、「そのまま、続けて!」と店主さんは声をかけて去っていきました。
「そのまま、続けて!」ってすごくよくないですか? 本を探しているひとにかける言葉としてもうトコトン大正解な気がしました。
レジで日本からきたことと、編集者であることを伝えると、それはすごくいいね、いつまでいるの? とニコニコと会話を続けてくれる。「写真を撮ってもいいですか?」と聞いたら、「じゃあ、メガネはずさせてよ」とカッコよくポーズしてくれました。お店は1994年からあるんだって。
また必ずくるので、そのときまでそこに居てください。
さきほどの本屋から5〜6分、歩いたところ。こちらは店名通り、子どものための本屋さん。6月は「プライド月間(Pride Month)」だったので、LGBTQ+の権利にまつわるテーマの棚がたくさんできていました。
この日は天気がすごくよくて、ビーチの近くだからか、歩く人がみんな開放的で幸せそうに見える。いいね!とっても!
気がつけば、たくさんのショップが立ち並ぶエリアに。Pulp fiction(パルプフィクション)といったら、タランティーノ監督による映画だけれど、バンクーバーにはPulp fictionの名を持つ本屋がなんと3つもありました。もしかしたら、わたしが見つけられてないだけで、まだあるのかも!
この映画を好きな友人が何人もいて、20代の頃、何度も勧められていたけれど、結局観ていないのだよね。Pulp fictionって「安っぽい小説」という意味なのね。これだけ店名にしたくなる映画のタイトルってすごいな。近いうちに観るしか!
さらにずんずん進むと、ファンタジー&SF小説の専門店が現れた。わたしはこの分野の本をほとんど読まないから、まったく勘どころがないのだけれど、これだけのタイトルがあるってすごいな、と。ただただ、びっくり。
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途中、やってきたお客さんは「あの話ってどんなタイトルだっけ?」(みたいなことを多分)店主さんに聞いていて、二人で何やらひと盛り上がりをしていた。ものすごく楽しそうだったな。
このお店もたいへん味わい深かった。哲学書や心理学の古書を中心に、料理書のコーナーにはヴィーガンやベジの本などがたくさん。思想を大切にしたセレクトなんだな、とわたしにもなんとなくわかる。
こういう風にある意味「偏っている」ことが書店としてはとても魅力的。きっと、ここは常連さんが多い店。
くねくね曲がるように本棚を配置するのがすごくいいな。こういうくねくね配置の本屋がバンクーバーにけっこうあって、本棚って直線的に置くイメージしか湧いてなかったわたしは、自分の視野の狭さを思い知ったのであります。うむ。
本のほかにも、文房具や置物、お香や服などが置いてあって、まるで小さな蔦屋書店のようなお店もあった。お客さんもひっきりなし。人気店。バンクーバーの本屋さんの店先には、8割型バーゲンラックがあったのが印象的。
あとは豆本がハードカバーで「さすがや!」と思いました。豆本はいつか作りたいもののひとつ。
かけ足で振り返ったつもりが初日のキツラノエリアだけでもすごいボリュームになってしまった……! しかし、気にせず。まだまだいきます。さあ、最後までついて来られるかな(笑)
本屋めぐり2日目は、バンクーバーで最も栄えているダウンタウンへ。でも、意外と本屋は少ないのです。きっと大型書店「indigo」があるからかな。今回まわったのは5軒(うち、1軒はクローズにつきのぞき見のみ)。さあ、ゆきましょう。
ダウンタウンといっても、中心部からはちょっと外れた場所にあるこちらのお店。料理本のセレクトが最高すぎた。バンクーバーへきたら、必ず立ち寄る店に大決定!
あまりにセンスが好きすぎて「なにかおすすめはある?」と聞いたら、選んで持ってきてくれた3冊のうち、2冊が買うか迷ったタイトルで。フィーリングッドすぎました。
おまけでいただいたトートバッグも愛用中です。ふくろうのキャラクターがおしゃれなのよねええええ。
「本屋まわってるんだったら、あそこ行った?」とバンクーバーで2人にいわれたのがこちらのお店。古書中心、佇まいとこの存在感よ。16時30分閉店にすべりこもうと、16時10分にLyftを横付けしたのだけど、すでにクローズの看板が! 間に合わず、無念。
本屋に限らず、コーナーにあるお店が好き。積読具合もいとおかし。のぞきまくって雰囲気だけを感じてみました。
ちょっとそっけないくらいがわたしの好きな接客。そんな店主がここにはいました。味わい深い装丁の古書ばかりで陳列も楽しい、美しい。あれもこれもと両手いっぱいにしていると「君はレシピブックのコレクターなの?」と。
ええ、この棚ごと持ち帰りたいくらいです!
ここも好きな本屋さんだったな。再訪決定!
お次は、なんの本屋さんか、わからずにドアをあけたら……
すべてペルシャ語!
いえ、正直にいうと、初め、何語かもわかりませんでした。
いかん、まずいところに入ってしまった…と思ったのだけど、これがまったくその逆でして、店主のDariusさんがやさしい英語でたくさん解説してくれて、とても楽しい時間を過ごしてきました。
Dariusさんはご自身でカリグラフィーもされていて店内に飾ったりしていたけれど、わたしにとっては言語でなく、もはやアート。
イランでは、村上春樹さんが大人気なんだって。
ジェンダーにまつわる本、アダルトグッズ、服やアクセサリーなどが集まるショップ。おとなのおもちゃひしめく、さわやかな店内には、ちょっとしたカルチャーショック。ズバリ、いろんなもののサイズが大きい。
「なにかお探しですか? 一緒に探しますよ!」と急に声をかけられて「じゃじゃじゃじゃJust looking」と、ここ最近で一番の動揺を見せたと思います。ああ、もっと大人に対応したかった。
ここに並んでいるようなテーマこそ、しっかりと作られる本の存在が大事かも。わたしももっと勉強しなくては。
本屋めぐり3日目。フェリーでもなく、遊覧船でもなく、日常の交通網として穏やかに湾を渡るSeaBus(シーバス)の発着駅「ロンズデール」から広がる街〜住宅地の雰囲気がわたしは本当に大好きなんです。だから、滞在していたのもノースバンクーバーでした。
まずはゲストハウスから歩いていけるエッジモンドのショッピングエリアにある 32 Books & Galleryさんへ。
ポストカードが豊富で「そうそう、本屋にポストカードはマストよね」と再認識。わたしも筆まめなほうだし、いつかオリジナルつくりたいな。
32 Books & Galleryさんから歩いて1分のところには、kidsbooksさん。その名にふさわしい本のセレクション、カードゲーム類やパズルなど、知育グッズも豊富。英語の絵本はおとなの語学学習にうってつけだと思っているので、好きなお話を見つけたら連れて帰る。
『SUSHI GO!』というカードゲームもゲットしたので、この夏めいっこたちに一緒に遊んでもらう予定。お盆が楽しみです。
Lyft(タクシー的な)でロンズデール方面へ移動して、古本屋Book Loversさんへ。「100万冊あるよ」という看板の通り、ところせましと古本が積み上げてありました。
料理書も豊富で、ジェイミーオリバーさんの本はもう、ここでぜんぶゲットできそう! 古いものから、新しいものまで。100万冊ってすごいよね。TSUNDOKU BOOKSはまず1000冊を目指す予定です。
ロンズデールの駅前にあるQuay Marcketは、まるでジャスコみたいなモールでして(歳がだいたいわかるジャスコ発言)その中にあって雑貨も豊富なかわいらしいお店でした。
そして、これまで訪ねた中でも3本の指に入る好きな本屋がこちら。大好きなNorthVancouverの一番おしゃれなエリアにあるのもまた尊い。
本に囲まれるのが本屋の醍醐味!と思っていたけど、こう広々してるのもいいなぁ。丸テーブルをうまく使っているのにもシンパシーを感じつつ、店主さんも穏やかですてきでした。
隣がめちゃくちゃ人気のジェラート屋さんなのでセット訪問が吉! 並びには炙り寿司のカフェもあります。大阪寿司風の押し寿司。サーモンがおいしゅうございました。
バスで北上し、ロンズデールアベニューへ。ペルシャ語の本とアートが中心のHamsaz Art & Culture Services (NIMA Book Store)は、これまで最もわかりにくい場所にあり。
我ながら、よく突入したなと思う。
お客さんと話し込んでいたので店主さんとは特に話せずだったけど、マンションの一室にひっそり系本屋もすごくマニアックでいい!
8割が雑誌。縦に長く、入り口から出口に向かってU字に陳列された本棚。
お客さんもひっきりなして不思議な光景に感じた。雑誌多めのコンビニのような感じかもしれない。
ノースバンクーバーは、いまやバスを乗り回せるくらい土地勘がある場所なので、半日で7軒めぐりもおちゃのこさいさい。これが3回目の旅のおもしろさか!
本屋めぐり4日目(前半)。2時間ぐらいで急いでまわったのがくやまれる、まだまだ浴びてみたいストリート、コマーシャル・ドライブ! お手頃価格でおいしいものも多そうだし!
棚の作り方が独特というか、すごく編集されている感じ。なにがそうさせるだろう、選書? もちろん、けどそれだけじゃない。導線だろうか。それとも、手描きのポップか。
心奪われるままに立ち読みしてきました。本屋さんって、棚の作り方に性格が出るというか、もう隠しきれない色みたいなものが溢れるなぁと思います。
Spartacus Booksさんを出て、通りの向こうに見えた古書店が Canterbury Tales Bookstoreさん。ここは「本はもっと生活の一部でいいのかも」と教えてくれました。
本との距離感はいろいろあってよさそう! 気がついたら、本を崇高なものとして捉えるようになっていたかもしれない。
そして今回の本屋めぐり、2軒目のパルプフィクション。スタッフの名前がしっかり付いたリコメンド棚がたのしい。こういうのって思わずみちゃうよね。ひとの顔が想像できる棚作りはよいなー。
友人おすすめのベーカリーが近くにあると聞いて。行ってみると、ものすごく素敵な店でした。クロワッサンがおいしいらしいのだけど、15時すぎに行ったものでもう売り切れており。「早い時間だったらあるのにー!」という英語が聞き取れるようになっていて我が語学力、僅かながら進化を感じる!(笑)
ユーモアが散らばっている店。ブックカバーごとサインになっていてすごくかわいかった。小さなイスの上に積読された本もよく見かけるけど、イスがカラフルな色をしているのがよいな。青い本棚も個性的すぎないし。
そして最後のエリアへ!
そして本屋めぐり4日目(後半)=ラストは、サウス・メイン編。
通りも気持ちよくて、夕方の日差しが気持ちよくてずっと歩いていられそうだった街。
もっと英語がわかるようになったら、最高の本屋だろうなぁ。完全に入りびたりたい系。なんてったて店主さんが本に埋もれていたのですからね。
みて、このリコメンドの嵐! 短文で解説してもらえると、わたしみたいな外国人でも、いまやGoogleカメラで翻訳すれば、どんな本かだいたいはわかってしまうし、誰かの言葉で語られている個人的なおすすめはすごく魅力的。
ここすごく好き、と瞬間的に思った本屋さん。もう確実に本が好きな店主さんのつくった空間だな、と。友達になりたいな、と。MANGAも同人誌も豊富でBGMもHappy、ほんとLuckyな雰囲気満載の店。親子連れが楽しそうな場所っていいね。閉店間際にすべりこんだのがくやまれる〜!
建物の取り壊し通知を受け、移転先を探しているとTwitterで知りました。すごくいい本屋さんなのでいい場所が見つかるといいな。次こそは話しかけたい店主さんNo.1。
Carson Books & Records、Book Warehouse Main St. 、Lucky’s Books & Comics。この3軒があるサウスメインストリート、最高だー!
本屋めぐりの大トリは、バンクーバー3軒目のPulpfiction Books。店先にはゆったりと新刊、奥に進めばぎっちりと古本。赤髪の店員さん、赤色の壁紙、入口の向こうは青空。
どこのお店も本を買うと、タイトルをノートに手書きでメモしてからレジに打ち込んでいた。それを見るのがとてもいい時間でした。
さて、今回は26軒の本屋におじゃましました。本屋を目的地にゆるゆると街を散歩しながら、ときどき気になった本屋以外の店にも立ち寄りながら、本当にぜいたくな時間を過ごしてきました。最高の夏休みであった。
もちろん、全部まわれたわけじゃないので、つぎの旅の理由にします。
TSUNDOKU BOOKSをどんなお店にしたいのか。それは、ほぼかたまってきた今だからこそ、浴びるように本屋をめぐってみたかったんですよね。その直感はたぶんすごく合っていて「考えすぎず、気楽にやれよ〜」とバンクーバーに背中を押されて帰ってきました。
さて、ここからまたコツコツと準備していきます。
オープン目標は2024年2月。がんばります!
最後まで読んでくださった強者のみなさん、
ぜひ、足跡を残していってくださいねー!
つづきを読む。
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